ADHDの不注意優勢型とは?

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意と多動性・衝動性を主な症状とする神経発達症です。
「不注意優勢型」は一般的な呼び方で、DSM-5-TRでは「不注意優勢の状態(predominantly inattentive presentation)」に相当します。
不注意の診断基準を満たし、多動性・衝動性の診断基準は満たさない状態です。
ADHDの症状の現れ方は成長や生活環境によって変化するため、評価する時期によって該当する状態が変わることがあります。
不注意優勢型でも、多少の多動性や衝動性がみられる場合があります。
参考:American Psychiatric Association「DSM-5-TR」
ADDとは?ADHDの不注意優勢型との違い
ADD(Attention Deficit Disorder:注意欠陥障害)は、以前用いられていた診断名です。
1980年のDSM-IIIでは多動を伴う場合と伴わない場合が区別され、1987年のDSM-III-RでADHDという名称に整理されました。
現在のDSM-5-TRでは「注意欠如・多動症(ADHD)」という診断名が用いられています。
ADHDの定義や症状全般は、ADHD総論記事をご覧ください。
現在、ADDは正式な診断名ではありませんが、日常会話では多動性が目立たず不注意が中心となるADHDを指すことがあります。
ただし、過去のADDと現在の不注意優勢の状態は診断基準が完全に一致するわけではありません。
診断では現在の基準に沿って発達歴と生活への影響を確認します。
ADHDの3つの状態とその違い
ADHDでは、過去6か月間に満たす症状基準に応じて「不注意優勢の状態」「多動性・衝動性優勢の状態」「混合した状態」を区別します。
不注意優勢では忘れ物、注意の持続や段取りの難しさが中心です。
多動性・衝動性優勢では落ち着きのなさ、待つことの難しさ、衝動的な発言などが中心になります。
混合した状態では両方の症状群が基準を満たします。
これらは固定的な性格分類ではなく、成長や環境の変化に伴って現れ方が変わることがあります。
例えば小児期に多動が目立っていた人でも、成人後には内面的な落ち着かなさや不注意による困難が中心となる場合があります。
ADHD不注意優勢型の特徴・症状

不注意にみられる9つの症状
- 細部を見落とし、課題や仕事で不注意なミスをする
- 授業・読書・会議・作業などで注意を持続しにくい
- 直接話しかけられても、聞いていないように見える
- 指示に従って課題や仕事を最後まで仕上げにくい
- 課題や活動を順序立てて整理することが苦手
- 持続的な精神的努力を要する課題を避けたり、後回しにしたりする
- 必要な物(鍵、書類、学用品など)をよくなくす
- 周囲の刺激や関係のない考えで注意がそれやすい
- 日常的な活動(予定、支払い、持ち物など)を忘れやすい
上記の9つの症状は、DSM-5-TRの診断基準をもとに、日常生活での具体例としてまとめたものです。
ADHDの診断では、こうした症状が幼少期から持続しているか、家庭や学校、職場など複数の場面でみられるか、日常生活にどの程度の支障を及ぼしているかを総合的に評価します。
大人のADHD不注意優勢型の特徴
複数の依頼が重なると優先順位をつけにくい、会議で重要事項を聞き落とす、締め切り直前に着手する、請求や予約を忘れるなどの困りごとが生じます。
学生時代は家族の支援や規則的な環境で目立たず、就職・昇進・育児など責任の増加を契機に顕在化することもあります。
子どものADHD不注意優勢型の特徴
授業中に騒がず座っていても、説明の途中で注意がそれる、宿題を終えても提出し忘れる、連絡帳や持ち物の管理が難しい、といった形で表れることがあります。
テストの点数だけでは分からず、準備や提出にかかる負担も重要です。
学校と家庭の双方から情報を集めます。
女性のADHDが気づかれにくい理由
外から目立つ多動性が乏しく、本人が困難を補うために長時間努力している場合、周囲が気づきにくいことがあります。
女性のADHDにもさまざまな症状の現れ方があり、不注意優勢型のほか、多動・衝動優勢型や混合型に該当する場合もあります。
学校では静かに過ごせていても、課題の準備に人一倍時間をかけたり、忘れ物を周囲が補ったりしていることがあります。
進学、就職、育児などで管理すべきことが増えると、従来の工夫では対応しきれず受診につながる場合があります。
評価では、表面上の成績だけでなく、本人の負担や疲労も確認します。
ADHD全体の特徴や男女差については、ADHD(注意欠如・多動症)の総論記事も参考になります。
ADHD不注意優勢型の診断基準と診断の流れ

大人・子どもに共通する診断基準
DSM-5-TRでは不注意症状が6か月以上持続し、16歳以下では9項目中6項目以上、17歳以上では5項目以上が一つの条件です。
さらに、いくつかの症状が12歳になる前から存在し、2つ以上の場面で認められ、社会生活・学業・仕事の機能に明確な悪影響を及ぼしていることなどを確認します。
参考:米国精神医学会(APA):DSM-5-TR
診断では、前述した9つの不注意症状について、症状の持続期間、発達歴、生活への影響を総合的に評価します。
また、うつ病や不安症、睡眠障害など、集中力の低下につながるほかの疾患との鑑別も重要です。
参考:CDC:ADHDの診断基準と評価方法
医療機関での診断と検査の流れ
ADHDの診断では、現在の症状に加えて、幼少期からの発達歴や、学校・家庭・職場での生活状況を詳しく確認します。
子どもの場合は、本人や保護者への問診に加え、学校での様子、通知表、宿題や提出物の状況などが参考になります。
大人の場合は、現在の仕事や日常生活での困りごとに加え、幼少期から同様の特徴がみられたかを確認します。
必要に応じて、家族からの情報や過去の学校生活の記録(小学生、中学生の時の通知簿など)も参考にします。
また、ASRSなどの評価尺度を使用して、不注意や多動性・衝動性の症状を整理することもあります。
ADHDの診断は、問診や発達歴、生活機能の評価を中心に行い、必要に応じて心理検査や身体的な検査を組み合わせます。
参考:NICE:ADHDの診断と評価に関するガイドライン
ADHD不注意優勢型と似た症状が現れる疾患

集中力の低下や忘れ物、作業の先延ばしなどは、ADHD以外の精神疾患や身体的な不調でもみられることがあります。
ADHDの診断では、症状がいつ頃から続いているか、どのような場面で現れるか、ほかの症状を伴っているかなどを確認し、似た症状が現れる疾患との違いを評価します。
うつ病・不安症・睡眠障害との違い
うつ病との違い
うつ病では、気分の落ち込みや意欲の低下に伴い、集中力や判断力が低下することがあります。
例えば、以前は問題なく仕事を進められていた人が、気分の落ち込みとともに作業に時間がかかるようになった場合には、うつ病の影響を考えます。
一方、ADHDでは幼少期から不注意の特徴が続いていることが診断の手がかりとなります。
不安症との違い
不安症では、失敗への心配や将来への不安などが頭から離れず、目の前の作業に集中しにくくなることがあります。
例えば、仕事で失敗することを繰り返し心配しているために、資料を何度も確認し、作業が進まなくなる場合があります。
ADHDとの鑑別では、不安が強くなる以前から不注意がみられていたか、不安の少ない場面でも集中の難しさが続くかなどを確認します。
睡眠障害との違い
睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群、睡眠リズムの乱れなどによって、日中の集中力や注意力が低下することがあります。
例えば、十分な睡眠が取れていない時期に限ってミスや忘れ物が増えている場合には、睡眠の問題が関係している可能性があります。
ADHDとうつ病、不安症、睡眠障害は併存する場合もあるため、それぞれの症状と経過を確認することが重要です。
ASD・限局性学習症との違い
ASD(自閉スペクトラム症)との違い
ASDでは、社会的コミュニケーションの特徴や感覚過敏、予定変更への対応の難しさなどが、日常生活や仕事に影響することがあります。
例えば、職場で指示された仕事をうまく進められない場合でも、ADHDでは注意の持続や段取りの難しさが、ASDでは指示の意図の理解や急な変更への対応の難しさが関係していることがあります。
ADHDとASDは併存する場合もあり、診断ではそれぞれの特性を詳しく評価します。
詳しくは、ADHD(注意欠如・多動症)の特徴とASDとの関係をご覧ください。
限局性学習症(SLD)との違い
限局性学習症では、読む・書く・計算するといった特定の学習技能に持続的な困難がみられます。
例えば、文章を読むことに強い負担を感じ、読書や文章題に集中できない場合には、読字の正確さや流暢さなどを評価します。
ADHDでは、読書以外の作業でも注意の持続や整理整頓などに困難が現れることがあります。
ADHDと限局性学習症が併存する場合には、それぞれの特徴に応じた学習支援を検討します。
身体疾患・薬剤などの影響
身体疾患や服用している薬剤の影響によっても、集中力や注意力が低下することがあります。
例えば、甲状腺機能の異常や貧血などが関係している場合があります。
また、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬や、眠気を生じやすい第一世代抗ヒスタミン薬、抗コリン作用の強い薬剤などは、眠気や認知機能への影響を通じて、注意力や記憶力を低下させることがあります。
診察では、症状が現れた時期や体調の変化、服薬状況などを確認し、必要に応じて血液検査などを行います。
ADHDの不注意と単なる忘れっぽさの違い
忘れ物やうっかりミスは、疲労や忙しさなどによって誰にでも起こることがあります。
ADHDでは、幼少期から不注意の特徴が続き、家庭・学校・職場など複数の場面で、日常生活に支障が生じていることが診断の重要なポイントとなります。
例えば、仕事が忙しくなった時期にだけ忘れ物が増えた場合には、睡眠不足やストレスなどの影響を検討します。
一方、小学生の頃から忘れ物や提出漏れが多く、大人になってからも予定管理や仕事の段取りに困難が続いている場合には、ADHDの可能性を含めて評価します。
ADHD不注意優勢型の治療法|薬物療法と心理社会的支援

ADHDの不注意優勢型の治療では、薬物療法や心理社会的支援、生活環境の調整などを組み合わせ、症状の軽減と日常生活での困りごとの改善を目指します。
治療方法は、年齢や症状の程度、生活への影響、本人の希望などを踏まえて検討します。
薬物療法で使用される主な薬
ADHDの不注意症状によって日常生活に支障が生じている場合は、年齢や症状の程度などに応じて薬物療法を検討します。
ADHDの治療薬には、大きく分けて中枢刺激薬と非刺激薬があります。
分類 | 主な薬剤 | 特徴 |
|---|
中枢刺激薬 | メチルフェニデート徐放製剤(コンサータ) | ドパミンやノルアドレナリンの働きを調整し、不注意や多動性・衝動性の改善を図る |
中枢刺激薬 | リスデキサンフェタミン(ビバンセ) | ドパミンやノルアドレナリンの働きに作用する。日本では小児期のADHDに適応があり、処方に特別な管理要件がある |
非刺激薬 | アトモキセチン(ストラテラ) | 主にノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、不注意などの症状の改善を図る |
非刺激薬 | グアンファシン徐放製剤(インチュニブ) | α2Aアドレナリン受容体に作用し、ADHDの症状の改善を図る |
薬剤の選択では、年齢、併存する疾患、これまでの治療歴、副作用、本人の希望などを総合的に考慮します。
薬物療法で注意する副作用
中枢刺激薬では食欲低下や不眠、動悸など、アトモキセチンでは悪心や食欲低下など、グアンファシンでは眠気や血圧低下などがみられることがあります。
そのため、治療開始前と治療中には、症状の変化に加えて、食欲・体重・睡眠・血圧・脈拍などを確認します。子どもでは身長や体重の推移にも注意します。
薬物療法の効果は、集中力や不注意症状の変化だけでなく、仕事のミスや提出忘れが減ったかなど、実際の生活での改善も含めて評価します。
薬の効果や副作用には個人差があるため、定期的に医師と相談しながら治療を調整することが大切です。
参考:NICEのADHD診療ガイドライン
アトモキセチンについて詳しくは、ストラテラ(アトモキセチン)の効果・副作用・他薬との違いをご覧ください。
認知行動療法・心理教育・環境調整
ADHDの不注意優勢型では、薬物療法に加えて、本人の特性に合わせた心理社会的支援や環境調整も重要です。
心理社会的支援には、ADHDの特徴について理解を深める心理教育、日常生活での対処方法を身につける認知行動療法、家庭や学校での支援などがあります。
子どもの場合
子どもでは、保護者への心理教育やペアレントトレーニング、学校との連携などを通じて、日常生活や学習に取り組みやすい環境を整えます。
例えば、宿題の提出忘れが多い場合は、宿題を終えた後に連絡袋へ入れる手順を決めたり、翌日の持ち物をチェックリストで確認したりする方法が役立ちます。
また、学校では指示を短く具体的に伝える、課題を小さな工程に分ける、集中しやすい座席を検討するなどの支援が考えられます。
大人の場合
成人では、ADHDに焦点を当てた認知行動療法などによって、予定管理や優先順位づけ、作業の先延ばしへの対処方法を身につけることが期待できます。
例えば、複数の仕事を抱えている場合は、タスクを一覧にして優先順位を決めたり、大きな作業を小さな工程に分けたりする方法を練習します。
職場では、口頭での指示を文章で共有する、作業の締め切りを明確にする、途中で進捗を確認するなどの環境調整も役立ちます。
治療では、「提出忘れを減らす」「予定を自分で管理できるようにする」など、具体的な目標を設定し、日常生活での変化を確認しながら支援方法を調整していきます。
参考:NICE:ADHDの心理社会的支援に関する推奨事項
成人のADHDについて詳しくは、大人のADHDの特徴と対処法をご覧ください。
ADHD不注意優勢型の生活上の対処法・向いている仕事

ADHDの不注意優勢型では、忘れ物や予定管理の難しさ、作業の先延ばしなどによって、仕事や学校生活で困りごとが生じることがあります。
こうした困りごとを軽減するには、本人の特性に合わせて、日常生活での工夫や職場・学校の環境調整を取り入れることが効果的です。
ここでは、仕事でのミスや忘れ物を減らす具体的な方法、働きやすい職場環境、子どもの学校生活や家庭での支援について解説します。
仕事でのミスや忘れ物を減らす工夫
仕事では、複数の作業を同時に進めたり、口頭で伝えられた指示を覚えておいたりすることが負担になる場合があります。
以下のような工夫によって、不注意によるミスや忘れ物を減らせることがあります。
- 予定や締め切りを一か所で管理する: 仕事の予定をGoogleカレンダーなどに集約し、重要な予定には前日と当日の通知を設定します。毎朝5分間、その日の予定を確認する習慣も役立ちます。
- 作業を小さな工程に分ける: 「報告書を完成させる」という大きな目標を、「資料を集める」「見出しを作る」「本文を書く」「提出前に確認する」という工程に分けます。最初の作業を具体化することで、取りかかりやすくなります。
- 忘れ物を仕組みで防ぐ: 鍵や財布、社員証などの置き場所を固定します。外出前に確認する持ち物を玄関に掲示したり、翌日の持ち物を前夜に準備したりする方法も効果的です。
- 口頭での指示を文章に残す: 上司から複数の依頼を受けた場合は、チャットやメールに記録し、優先順位と期限を確認します。作業が終わったらチェックを入れる仕組みを作ると、対応漏れを防ぎやすくなります。
- 集中しやすい環境を整える: 作業中はスマートフォンの通知を減らし、必要に応じて静かな場所を利用します。25分間作業して5分間休憩するなど、時間を区切る方法が合う人もいます。
- 作業の最後に確認する時間を設ける: メール送信前に宛先と添付ファイルを確認する、資料提出前に数字や日付を見直すなど、ミスが起こりやすい箇所をチェックリストにまとめます。
すべての方法を一度に取り入れる必要はありません。
まずは困っている場面に合った方法を1〜2つ試し、続けやすさや効果を確認しながら調整していきましょう。
ADHD不注意優勢型に向いている仕事・職場環境
ADHDの不注意優勢型に向いている仕事は、本人の得意分野や興味、仕事内容、職場環境によって異なります。
例えば、特定の分野に強い関心があり、一つの作業に集中して取り組むことが得意な人では、専門知識や技術を活用できる仕事が適している場合があります。
一方、複数の業務を頻繁に切り替える仕事や、口頭指示だけで多くの情報を管理する仕事では、負担を感じることがあります。
職種そのものよりも、次のような職場環境が重要です。
- 仕事内容や優先順位が明確: 何をいつまでに行うかが具体的に示されている。
- 作業手順が整理されている: マニュアルやチェックリストを活用できる。
- 集中できる時間を確保しやすい: 頻繁な割り込みを減らし、一つの作業に取り組める。
- 相談や確認がしやすい: 指示内容や期限について、上司や同僚に確認できる。
例えば、同じ事務職でも、電話対応と書類作成を頻繁に切り替える職場と、作業時間を確保して書類を作成できる職場では、働きやすさが異なることがあります。
また、本人の特性に応じて、指示の書面化や業務量の調整などの配慮を相談することも選択肢になります。
ADHDの診断を受けており、日常生活や仕事への影響が大きい場合には、精神障害者保健福祉手帳の取得を検討できることもあります。
取得には所定の条件があり、診断名だけで交付が決まるものではありません。
詳しくは、ADHDでも障害者手帳は取得できる?条件や申請方法をご覧ください。
子どもの学校生活と家庭での支援
子どものADHD不注意優勢型では、授業中に説明を聞き漏らしたり、宿題を終えても提出を忘れたりすることがあります。
家庭や学校では、子どもが自分で行動しやすい仕組みを作ることが大切です。
学校生活での工夫
- 指示を短く具体的に伝える: 「授業の準備をして」ではなく、「教科書とノートを机に出して」と伝えます。
- 提出までの手順を確認する: 宿題を終えたら連絡袋に入れ、翌朝提出するまでを一連の手順として練習します。
- 予定を目で確認できるようにする: 時間割や持ち物を一覧にし、準備が終わったものにチェックを入れます。
- 集中しやすい座席を検討する: 周囲の刺激で注意がそれやすい場合は、教師と相談して座席や学習環境を調整します。
家庭での工夫
- 持ち物の置き場所を固定する: ランドセル、教科書、筆箱などを決まった場所に収納します。
- 準備する時間を決める: 毎晩、翌日の時間割と持ち物を確認する時間を設けます。
- できた行動を具体的に褒める: 「自分で連絡帳を確認できたね」など、取り組めた行動を伝えます。
- 課題を短い時間に区切る: 宿題に取りかかりにくい場合は、少量ずつ進め、必要に応じて休憩を挟みます。
例えば、宿題の提出忘れが多い子どもでは、「宿題をする」「連絡袋に入れる」「翌朝提出する」という3つの行動を、それぞれ確認できるチェックリストにすると役立つことがあります。
子どもの年齢や発達段階に合わせて、最初は保護者や教師が一緒に確認し、少しずつ本人が管理できる範囲を広げていくことが大切です。
受診の目安と診察前に整理したいこと
忘れ物や先延ばし、注意の持続の難しさなどによって、学業・仕事・家庭生活に支障が生じている場合は、精神科や児童精神科などの医療機関で相談できます。
特に、繰り返し対策を試しても困りごとが続いている場合や、失敗体験によって自信を失ったり、不安や抑うつが強くなったりしている場合には、専門的な評価が役立ちます。
診察前には、以下の情報を整理しておくと、症状や生活への影響を伝えやすくなります。
- 具体的な困りごと: 忘れ物、提出漏れ、仕事のミス、予定管理の難しさなど
- 症状が現れる頻度と場面: 毎日のように起こるのか、特定の作業で起こりやすいのか
- 幼少期からの経過: 小学校時代の忘れ物や宿題、授業中の様子など
- 現在の生活への影響: 学業成績、仕事の評価、家庭生活、対人関係への影響
- これまで試した対策: チェックリスト、予定管理、環境調整などの方法とその効果
例えば、「仕事でミスが多い」と伝えるよりも、「週に2〜3回、依頼された作業の一部を忘れてしまい、上司から確認を受ける」と説明すると、医師が状況を把握しやすくなります。
ADHDの診断では、現在の困りごとだけでなく、幼少期からの経過や生活環境、ほかの疾患の影響などを総合的に評価します。
まとめ
ADHDの不注意優勢型は、忘れ物や注意の持続の難しさ、予定管理や段取りの苦手さなど、不注意の症状が中心となるADHDの状態です。
症状の現れ方は子どもと大人で異なり、多動性が目立たないため、周囲から気づかれにくい場合もあります。
診断では、幼少期からの症状の経過や日常生活への影響を確認し、ほかの疾患との鑑別も含めて総合的に評価します。
治療では、必要に応じて薬物療法や心理社会的支援を組み合わせ、仕事や学校、家庭での環境調整を行うことが大切です。
不注意による困りごとが続いている場合は、精神科や児童精神科などの医療機関に相談してみましょう。
仙台でADHDの相談を検討されている方は、かもみーる心のクリニック仙台院の診療案内をご確認ください。