強迫性障害とは?症状・原因・治療法を解説

投稿日 2026年07月27日

最終更新日 2026年09月26日

強迫性障害
強迫性障害とは?症状・原因・治療法を解説

「戸締まりをしたか何度も確認してしまう」「手が汚れている気がして何度も洗ってしまう」——このような症状に悩まされていませんか?

強迫性障害(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)は、自分でも「ばかばかしい」「やりすぎだ」とわかっているのに、不安やこだわりが頭から離れず、同じ行動を繰り返してしまう病気です。

世界保健機関(WHO)の報告では、生活上の機能障害を引き起こす10大疾患の一つとされています。

強迫性障害は決して珍しい病気ではなく、日本での有病率は約1〜2%と推定されており、100人に1〜2人が生涯のうちに発症するとされています。

本記事では、強迫性障害の代表的な症状・発症の原因・治療法について詳しく解説します。

強迫性障害の代表的な症状|4つの症状群

強迫性障害(OCD)には、望んでいない考え・イメージ・衝動が繰り返し浮かぶ「強迫観念」と、不安や苦痛を和らげたり、恐れている出来事を防いだりするために繰り返す「強迫行為」がみられます。

強迫行為には、手洗いや確認だけでなく、頭の中で言葉を唱える、記憶を確かめ直すといった行為も含まれます。

両方がみられることが多いものの、診断上は一方だけの場合もあります。

参考:NIMH|Obsessive-Compulsive Disorder: When Unwanted Thoughts or Repetitive Behaviors Take Over

症状の内容は人によって異なります。

ここでは、評価尺度DOCSで扱われる4つの症状次元をもとに、代表的な症状を紹介します。

この整理は、OCDを4種類の別々の病気に分けるものではありません。

複数の症状が重なることもあり、4つすべてに当てはまる必要はありません。

参考:Eilertsen et al.(2017)|The Dimensional Obsessive-Compulsive Scale: Development and Validation of a Short Form (DOCS-SF)

1.汚れや感染が怖い〔不潔恐怖・洗浄強迫〕

「触れた物から病気がうつるかもしれない」「自分の汚れを家族に広げてしまう」といった不安から、手洗い・消毒・掃除などを繰り返す症状です。

感染への恐怖に加えて、「汚れが残っている感じ」や強い嫌悪感が中心になることもあります。

例えば、帰宅後に持ち物を何度も拭く、一度洗っても汚れた気がして洗い直すなどの行動がみられます。

汚染を恐れて物に触れなくなったり、外出を避けたりすることもあり、洗浄行為が目立たない場合もあります。

清潔を好むことだけでOCDとはいえません。

必要な衛生行動の範囲を超えてやめにくくなり、皮膚を傷める、準備に時間がかかるなど、苦痛や生活への影響が生じている点が重要です。

詳しくは、不潔恐怖・洗浄強迫の症状と治療法の記事で解説をしております。

2.ミスや危害が心配で確認を繰り返す〔確認強迫〕

「自分の不注意で火事になったらどうしよう」「運転中に誰かにぶつかったかもしれない」など、危害や重大なミスへの不安から確認を繰り返す症状です。

確認を終えても疑いが戻り、十分に確かめたという感覚を得られなくなることがあります。

鍵や火元を何度も見に戻るだけでなく、家族に「大丈夫だよね」と繰り返し尋ねたり、過去の行動を頭の中で再生して確かめ続けたりする場合もあります。

その結果、外出が遅れたり、仕事や学業が進まなくなったりします。

必要な確認と強迫的な確認の違いは、回数だけでは判断できません。

目的を果たした後も不安をなくすために確認を追加し続け、切り上げることが難しくなっているかが判断の手がかりになります。

詳しくは、確認強迫の具体的な症状と通常の確認との違いの記事で解説をしております。

3.嫌な考えが浮かび、打ち消そうとする〔受け入れがたい考え〕

暴力的・性的なイメージや、宗教・道徳に反すると感じる考えなどが、望んでいないのに繰り返し浮かび、強い不安や罪悪感につながる症状です。

例えば、「大切な人を傷つける考えが浮かぶ自分は危険なのではないか」と、その考えの意味を恐れることがあります。

不安を打ち消すために、頭の中で別の言葉を繰り返す、嫌なイメージを良いイメージに置き換える、自分に悪意がないか確かめ続けるなどの行為が生じます。

外から見える行動が少なくても、こうした心の中の強迫行為に長い時間を費やしている場合があります。

望まない考えが浮かぶこと自体はOCDの人だけに起こるものではなく、それだけで本人の願望や実行する意図を意味するわけではありません。

考えをめぐる苦痛や打ち消しが続き、生活に支障がある場合は相談が必要です。

詳しくは、侵入思考と強迫性障害の関係の記事で解説をしております。

4.対称性や「しっくりくる感覚」にこだわる〔対称性・不完全感〕

物の並びや左右のバランス、動作の順序などが「しっくりこない」と感じ、整え直しややり直しを繰り返す症状です。

「何か悪いことが起きる」という不安を伴う場合もありますが、はっきりした恐怖よりも、「まだ終わっていない」「何となく違う」という不完全感が中心になることもあります。

例えば、机の上の物の位置を何度も調整する、納得できるまで文字を書き直す、同じ動作を繰り返すなどの形で現れます。

本人も終えたいのに違和感が残り、身支度や課題に長い時間がかかることがあります。

整った状態を好むこと自体が病気なのではありません。好みに合わせて柔軟に切り上げられるか、違和感をなくすための行為に縛られ、苦痛や生活への支障が生じているかを確認します。

詳しくは、対称性強迫・不完全恐怖の症状と治療の記事で解説をしております。

参考:Abramowitz|Dimensional Obsessive-Compulsive Scale(DOCS)原版

上記は症状を理解するための例であり、自己診断用のチェックリストではありません。

「やりすぎだ」と自覚できる程度にも個人差があります。

症状に時間を取られる、強い苦痛がある、仕事・学業・家庭生活に支障がある場合には、精神科・心療内科で相談してください。

強迫性障害の発症の原因

強迫性障害の明確な原因は、まだ完全には解明されていません。

しかし現在の医学では「性格の問題」ではなく、「脳の機能的な問題」と「環境要因」が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

強迫性障害の原因については下記のページで詳しく解説しています。

▶︎ 強迫性障害の原因は?なぜなるのか・発症のきっかけ・なりやすい人を解説

要因の分類

具体的な内容

脳の機能異常

脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスが崩れ、不安や恐怖を感じる脳の回路(大脳基底核や前頭葉)が過剰に働いている状態と考えられています。

心理的・環境的ストレス

進学、就職、結婚、出産などのライフイベントや、人間関係のトラブル、過労などの強いストレスが発症の引き金になることがあります。

性格傾向

完璧主義、几帳面、責任感が強い、真面目といった性格傾向を持つ人は、不安を強く感じやすく、発症しやすいとされています。

遺伝的要因

家族研究では、強迫性障害患者の一親等の家族は、そうでない人と比べて発症リスクが約4倍高いことが報告されています(Blanco-Vieira et al., 2023)。また双生児研究から推定される遺伝率は約50%とされており、遺伝的要因が発症に一定の影響を与えることが示されています。ただし、遺伝だけで決まるわけではありません。

強迫性障害の治療法

強迫性障害(OCD)の主な治療法は、曝露反応妨害法(ERP)を含む認知行動療法と、SSRIなどの薬物療法です。

症状の重さだけでなく、うつ病などの併存、これまでの治療、本人の希望や通院の負担を踏まえて、単独で行うか、組み合わせるかを相談します。

薬を使わず心理療法を希望する場合も、その希望を伝えて構いません。

一方、不安や抑うつが強く練習に取り組めない場合には、薬物療法を先に始めることもあります。

すべての人に同じ順番で治療を行うわけではありません。

ここでは主に成人の治療を説明します。

子ども・思春期では、発達段階や家族の支援、薬の年齢別の適応を踏まえた判断が必要です。

参考:日本不安症学会・日本神経精神薬理学会|強迫症の診療ガイドライン 第1版(2025年)/日本精神神経学会|松永寿人先生に「強迫性障害」を訊く

1. 認知行動療法(曝露反応妨害法:ERP)で強迫行為への対応を変える

ERPは、不安や不快感を引き起こす状況に計画的に向き合い、その後の過剰な確認や洗浄などを控える練習です。

治療者と症状を整理し、不安の強さを点数で示した「不安階層表」などを用いながら、取り組める課題を決めます。

点数や課題は人によって異なります。

たとえば、次のように「何が怖いか」と「不安を打ち消すために何をしているか」を組み合わせて考えます。

以下は治療の考え方を示す例で、そのまま自己流で実行する課題ではありません。

症状の例

治療で整理する反応

目標の例

不潔恐怖・洗浄強迫

通常必要な衛生行動を超えて洗い続ける

必要な衛生は保ち、追加の洗浄を減らす

確認強迫

施錠後に何度も戻る、家族に代わりに確かめてもらう

通常の安全確認をした後、追加の確認に戻らず外出する

加害恐怖・頭の中の確認

記憶を繰り返し検証する、安心できるまで質問する

疑いの検証を続けず、予定していた活動に戻る

強迫行為には、目に見える行動だけでなく、頭の中で記憶をたどる、安心できる言葉を繰り返すといった行為も含まれます。

表面的な確認が減っても、別の確認に置き換わっていないかを治療者と振り返ります。

参考:International OCD Foundation|Exposure and Response Prevention (ERP)/日本精神神経学会|松永寿人先生に「強迫性障害」を訊く

練習中に不安が下がることはありますが、毎回すぐに下がることだけを成功の条件にはしません。

不安や疑いが残っていても、強迫行為に頼らず必要な活動を続ける経験を重ねることが大切です。

不安が下がるまで自分を追い込むことや、現実の危険を増やすことがERPの目的ではありません。

参考:International OCD Foundation|The Inhibitory Learning Approach to Exposure and Response Prevention

診察や面接の間に行う練習も治療の一部です。

難しすぎる場合は課題を調整し、家族による確認の代行も、本人・家族・治療者で相談しながら減らします。

一般的な悩みの相談と、課題を設定して取り組むERPは内容が異なるため、受診先で対応できるか確認しましょう。

参考:NHS|Treatment – Obsessive compulsive disorder (OCD)/International OCD Foundation|Exposure and Response Prevention (ERP)

詳しくは、曝露反応妨害法(ERP)の進め方と注意点をご覧ください。

2. 薬物療法で使う薬と効果判定の考え方

SSRIは抗うつ薬の一種ですが、うつ病がなくてもOCDの強迫観念・強迫行為を和らげるために使います。

薬物療法自体が治療の選択肢であり、ERPに取り組みやすくする役割を果たすこともあります。

国内でOCDの適応がある薬と適応外で検討する薬

薬剤名

OCD治療での位置づけ

確認する点

フルボキサミン
(ルボックス・デプロメールなど)

国内でOCDの適応があるSSRI

併用薬との相互作用、眠気・吐き気などを確認

パロキセチン
(通常錠の後発医薬品)

国内でOCDの適応があるSSRI

急な中止による症状に注意。CR製剤とは適応が異なる

セルトラリン・エスシタロプラム

海外の知見を踏まえ検討されるSSRI。国内ではOCDに適応外

承認適応と治療上の根拠を分けて説明を受ける

クロミプラミン
(アナフラニール)

効果の根拠がある三環系抗うつ薬。国内ではOCDに適応外

SSRIで改善が不十分な場合などに検討。副作用・併用薬に注意

この表は薬の優劣や推奨順を一律に示すものではありません。

国内でOCDの適応がある薬を基本に、過去の反応、副作用、併用薬などから選びます。

「適応外」は、国内で承認された効能・効果にOCDが含まれないことを意味し、保険での取り扱いも含めて説明を受ける必要があります。

参考:日本不安症学会・日本神経精神薬理学会|強迫症の診療ガイドライン 第1版(2025年)/International OCD Foundation|Medication Treatment for Obsessive Compulsive Disorder in Adults

なお、パロキセチンは製剤を区別する必要があります。

パキシル通常錠は販売中止・薬価削除となっており、通常錠の後発医薬品と、うつ病・うつ状態を適応とするパキシルCR錠を混同しないようにします。

参考:GSK|パキシル錠5mg・10mg・20mg 薬価基準削除に伴う経過措置期間移行のご案内

効き始めと十分な効果を判断する時期を分ける

薬は少量から始め、効果と副作用を確認しながら医師が調整します。

数日で効かないからと中止せず、服用状況や無理なく使える量を確かめたうえで評価します。

海外のガイドラインでは、十分な効果判定に投与開始からおおむね12週間を要する考え方が示されています。

増量の速さや必要な期間は個別に異なり、海外の用量をそのまま日本の処方に当てはめることはできません。

参考:日本不安症学会・日本神経精神薬理学会|強迫症の診療ガイドライン 第1版(2025年)/International OCD Foundation|Medication Treatment for Obsessive Compulsive Disorder in Adults

症状が軽くなった後も、再発を防ぐために治療を続ける場合があります。

減薬や終了は、安定している期間、残っている症状、再発歴、生活環境などを踏まえて相談します。

治療期間には個人差があるため、「何か月飲めば必ず終了できる」とは決められません。

参考:NHS|Treatment – Obsessive compulsive disorder (OCD)

副作用と中止時の症状を確認する

SSRIでは、吐き気、下痢、眠気や不眠、性機能への影響などがみられることがあります。

飲み始めや増量後に落ち着かなさが強くなる場合もあります。

困る症状は我慢して続けず、医師に伝えて調整します。

強い焦燥感、自傷・自殺を考えるような変化が生じた場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。

参考:NHS|Treatment – Obsessive compulsive disorder (OCD)/PMDA|フルボキサミンマレイン酸塩錠「サワイ」患者向医薬品ガイド

急に中止すると、めまい、吐き気、不眠、しびれるような感覚などが出ることがあります。

自己判断で増減・中止せず、処方医と計画を立てます。

他院の薬、市販薬、サプリメント、妊娠・授乳の状況、過去に気分が高揚して睡眠が少なくても活動できた時期なども、担当の医師に処方前に共有してください。

参考:PMDA|フルボキサミンマレイン酸塩錠「サワイ」患者向医薬品ガイド/International OCD Foundation|Medication Treatment for Obsessive Compulsive Disorder in Adults

3.治療で十分に改善しない場合に見直すこと

一つの治療で十分に良くならなくても、直ちに「治らない」とは判断しません。まず、次の点を主治医と確認します。

  • OCD以外の状態や併存症が、困りごとの一部に関わっていないか。
  • 薬を実際にどの程度の量・期間で使えたか、副作用や飲み忘れがなかったか。
  • ERPで取り組んでいる課題が、本人の主な強迫行為や回避に対応しているか。
  • 確認の代行、繰り返す安心確認、頭の中の儀式が残っていないか。

そのうえで、ERPの追加・調整、別のSSRIへの変更などを検討します。

クロミプラミンへの変更や、SSRIにリスペリドン・アリピプラゾールなどを加える「増強療法」が検討される場合もあります。

後者は、十分なSSRI治療で改善が不十分な人が対象で、すべてのOCD患者に最初から使う方法ではありません。

これらの薬のOCDに対する使用は国内では適応外です。

参考:日本不安症学会・日本神経精神薬理学会|強迫症の診療ガイドライン 第1版(2025年)/日本精神神経学会|松永寿人先生に「強迫性障害」を訊く

抗精神病薬による増強療法では、体重・代謝の変化、眠気、落ち着かず動きたくなる症状などを確認し、効果と負担を比較します。

薬を追加し続けるのではなく、何を改善するために用い、いつ評価するかを共有することが大切です。

生活上の支障が大きい場合は、OCD治療に詳しい医療機関への紹介や、より集中的な支援も相談します。

参考:International OCD Foundation|Medication Treatment for Obsessive Compulsive Disorder in Adults/NHS|Treatment – Obsessive compulsive disorder (OCD)

4. TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)の位置づけと確認したい点

TMSは、磁気を使って脳の神経活動に働きかける治療です。

標準的な治療で症状が十分に改善しないOCDに対して研究が進み、米国では特定の機器がOCD治療用として販売許可を受けています。

ただし、特定の機器・刺激条件で得られた結果を、すべてのTMS治療に当てはめることはできません。

検討する際は、これまでの薬物療法やERPを十分に評価したうえで、使用する機器、刺激する部位・方法、期待できる改善と限界を確認します。

頭痛や刺激部位の痛みなどがあり、まれなけいれん発作への配慮も必要です。

植込み機器や頭部の金属、けいれんの既往などについて、担当医より事前の評価を受けます。

参考:FDA|FDA permits marketing of transcranial magnetic stimulation for treatment of obsessive compulsive disorder/日本精神神経学会|反復経頭蓋磁気刺激装置適正使用指針(2024年改訂)

海外での販売許可は、日本での承認や保険適用と同じではありません。

受診先で、使用機器の国内承認とOCDへの適応、保険診療か自由診療か、総費用を確認してください。

通常のオンライン診察でTMSの施術を受けることはできず、実施施設での治療が必要です。

参考:FDA|FDA permits marketing of transcranial magnetic stimulation for treatment of obsessive compulsive disorder/日本精神神経学会|反復経頭蓋磁気刺激装置適正使用指針(2024年改訂)

▶︎ TMS治療は強迫性障害に効果的?具体的なメカニズムやエビデンスを解説

治療効果は症状と生活の変化の両方で確認する

治療の振り返りでは、不安の強さだけでなく、確認や洗浄に使う時間、避けていた活動、家族への確認依頼などを確認します。

必要に応じてY-BOCSなどの尺度も用いますが、点数だけで診断や治療方針が決まるわけではありません。

たとえば、「予定した時間に家を出られた」「入浴後にやり直さず休めた」「家族に何度も確かめず会話を楽しめた」といった変化を、本人の目標に合わせて見ていきます。

症状が残っていても生活の改善を評価し、十分な症状改善や寛解を目指しながら、治療を調整します。

参考:日本不安症学会・日本神経精神薬理学会|強迫症の診療ガイドライン 第1版(2025年)/International OCD Foundation|Medication Treatment for Obsessive Compulsive Disorder in Adults

詳しくは、Y-BOCSによる強迫性障害の重症度評価をご覧ください。

精神科・心療内科に相談するときは、薬の相談に加え、ERPの実施体制や紹介先も確認すると、治療の見通しを立てやすくなります。

強迫性障害の診断基準(DSM-5)

アメリカ精神医学会が定める診断基準「DSM-5」では、強迫性障害の診断に以下の要件が定められています。

強迫観念・強迫行為、またはその両方が存在し、それらが時間を大きく消費する(1日1時間以上が目安)、または臨床的に意味のある苦痛や、社会的・職業的・その他の重要な領域における機能の障害を引き起こしていること、そしてその症状が物質(薬物乱用、投薬)や他の医学的疾患の生理学的作用によるものではないことが条件とされています。

「少し気になる」「たまに確認してしまう」という程度であれば、誰にでもある習慣の範囲内と言えます。

しかし確認や洗浄に1日1時間以上かかり、外出や仕事に支障が出ている場合は、専門機関への相談を検討する段階です。

強迫性障害と似た病気との違い(潔癖症・抜毛症・皮膚むしり症)

DSM-5では、強迫性障害と関連する疾患をまとめた「強迫症および関連症群」というカテゴリが設けられています。

強迫性障害と混同されやすい以下の3つの疾患について、違いを整理します。

疾患名

主な症状

強迫性障害との違い

潔癖症(不潔恐怖を主体とした強迫症)

汚染・細菌・ウイルスへの強い恐怖から、過剰な手洗い・消毒・洗浄を繰り返す。

「潔癖症」は医学的な正式名称ではなく、強迫性障害の「不潔恐怖」タイプを指すことが多い。「汚い」という強迫観念を打ち消すための「洗浄行為」という構造は強迫性障害と同一であり、治療法も同じ。

▶︎ 不潔恐怖・洗浄強迫とは?手洗いがやめられない理由と治療法

抜毛症(毛髪抜去症)

頭髪・眉毛・まつ毛などを繰り返し引き抜かずにはいられない。引き抜く前の緊張感と、引き抜いた後の安堵感が特徴。

強迫性障害は「不安を打ち消すための行為」が中心だが、抜毛症は「緊張の解放・快感」が動機になることが多い点で異なる。ただし両者が併存するケースもある。

▶︎ 抜毛症とは?髪の毛を抜く原因・治療法と子どもへの接し方を解説

皮膚むしり症

皮膚のかさぶた・ニキビ・傷などを繰り返しむしり取る。抜毛症と同様に、行為の前後に緊張と解放感を伴う。

抜毛症と同じく「反復的身体集中行動症(BFRB)」に分類される。強迫性障害と類似した脳の回路が関与するとされ、治療にはSSRIや認知行動療法が用いられる。

▶︎ 皮膚むしり症とは?症状のセルフチェック・原因・治し方を解説

これらの疾患は、強迫性障害と同様に「やめたいのにやめられない」という苦しさを伴います。

「自分はどれに当てはまるのか」と判断に迷う場合は、自己診断せずに専門医に相談することをお勧めします。

受診の目安:こんな症状があれば相談を

以下の項目に複数当てはまる場合、強迫性障害の可能性があります。あくまで受診を検討するための目安であり、診断は専門医が行います。

  • 確認・洗浄・整理整頓などの行為に、1日1時間以上を費やしている
  • 「おかしいとわかっているのに止められない」という感覚がある
  • 強迫行為をしないと、強い不安や恐怖が続く
  • 遅刻・欠勤・外出困難など、日常生活や仕事に支障が出ている
  • 家族が確認や儀式に付き合わされ、関係が悪化している
  • 症状が6ヶ月以上続いている

治療期間と回復の見通し

強迫性障害の治療期間は、症状の重さや罹病期間によって個人差がありますが、一般的には数ヶ月〜数年単位での取り組みが必要です。

薬物療法(SSRI)は、効果が現れるまでに4〜8週間程度かかることが多く、十分な効果を得るためには1〜2年以上の継続服用が推奨されます。

認知行動療法(ERP)は、週1回のセッションを3〜6ヶ月程度続けることで、多くの患者さんに症状の改善が見られます。

重要なのは、「完全に症状がなくなること」を目標にするのではなく、「症状があっても日常生活を送れる状態」を目指すことです。

治療によって症状が軽減し、仕事や学校、家族との生活を取り戻せた方は多くいます。

家族の対応と「巻き込み」について

強迫性障害の治療において、ご家族の対応は非常に重要です。

患者さんは不安を解消するために、家族に「鍵かけたよね?」「手は綺麗だよね?」と何度も確認を求めたり、家族にも自分と同じ手順での手洗いや入浴を強要したりすることがあります。これを「巻き込み」と呼びます。

強迫行為に協力することは、短期的には本人の不安を和らげますが、長期的には「確認しないと不安が消えない」という病気の回路を強化してしまいます。

治療においては、ご家族が「巻き込み」に応じないことが重要になります。

ただし急に拒絶すると患者さんが混乱するため、主治医と相談しながら段階的に巻き込みを減らしていく計画を立てることが大切です。

まとめ:一人で悩まず、専門機関へご相談を

強迫性障害は、「性格の問題」や「気の持ちよう」で治るものではありません。

日常生活に支障が出ている、あるいは家族が巻き込まれて疲弊している場合は、早めに心療内科や精神科を受診することをお勧めします。

かもみーる心のクリニックでは、強迫性障害の診断から薬物療法・認知行動療法のアドバイス・TMS治療の相談まで、患者さん一人ひとりの症状に合わせたサポートを行っています。

宮城県で強迫性障害の相談をしたい場合は、かもみーる心のクリニック仙台院にご相談ください。

薬物療法に加え、TMSのご相談も可能です。

東京のかもみーる心のクリニック東京院でもご相談可能です。

オンライン診療にも対応しておりますので、「外出前の確認に時間がかかって病院に行けない」という方も、まずはご自宅からお気軽にご相談ください。

この記事のテーマを相談できる医師

よくあるご質問

強迫性障害は自分で治せますか?

軽度の場合、ストレス管理や生活習慣の改善で症状が和らぐことはあります。しかし、1日1時間以上を症状に費やしている場合や、日常生活に支障が出ている場合は、専門医の治療が必要です。自己流のERPは症状を悪化させるリスクもあるため、必ず専門家の指導のもとで行うことをお勧めします。

強迫性障害は何科を受診すればいいですか?

精神科または心療内科を受診してください。「強迫性障害の治療経験がある」「認知行動療法に対応している」クリニックを選ぶと、より適切な治療を受けられます。

子供でも強迫性障害になりますか?

子供も強迫性障害になります。強迫性障害は成人だけでなく、小学生〜中学生頃から発症するケースもあります。子供の場合は「宿題の字が気に入らず何度も書き直す」「登校前の準備に異常に時間がかかる」といった形で現れることがあります。

この記事の監修者

赤堀 将太郎

医療法人社団弘愛会理事長

赤堀 将太郎

こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。

診察・カウンセリングのご案内

診察やカウンセリングの利用を検討されている方は、各サービスのご案内をご覧いただけます。

強迫性障害に関する他の記事も読んでみる

最新コラム

コラム一覧を見る

かもみーるからの
お約束

  • 1

    プライバシー・個人情報の厳守

    当サービスをご安心して使っていただくために、お客様の個人情報は厳重に扱い、守秘義務を徹底しております。
    また当サイトのコンテンツに関しましても、医師の監修のもと、正しい情報を提供いたします。

  • 2

    満足の保証

    当サービスでは、万が一弊社のサービスの内、
    臨床心理士もしくは公認心理師によるカウンセリングサービスにご満足いただけなかった場合は、一定金額を限度に、お客様のご利用された料金を返還いたしております。

  • 3

    心理士の信頼性

    当サービスでは、専門資格である医師免許もしくは公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士の資格を持った人のみ、厳正な審査の元、採用いたしております。
    専門資格のない方は、一切診察業務及びカウンセリング業務に従事いたしません。